会長挨拶
JIO会長 和島武毅
今年(2016年)の6月26日に開催されました総会と新理事会において会長を拝命致しました。日本矯正歯科協会(JIO)は発足から15年目を迎え、2002年に約500名の歯科矯正専門医が結集した会合を原点とし、我が国の矯正治療の質の向上に努め、良質の医療を社会に還元するという理念のもとに活動し、国民の皆様に矯正治療を安心して受診できるようなシステム作りを目指し真摯に事業を行ってまいりました。
歯科矯正臨床は専門性が高い医療にも関わらず、我が国では専門性の確立がなされていません。巷には医療の域を超え倫理が問われるような商業化した歯科矯正環境が横行しているのが現状です。そして、歯科矯正医療をとりまく環境はますます悪化の一途をたどり、これからの矯正歯科界を担う若い世代は歯科矯正専門医を諦め、地域によっては矯正専門医の開業形態が成り立たないという状況です。
このような歯科矯正環境の中、矯正歯科領域の専門医制度に関わる三団体(日本矯正歯科協会、日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会)で厚生労働省指導のもと2007年7月19日より第1回「歯科矯正領域の専門医制度に関わる三者懇談会」が開催され、同省立ち会いで協議が開始されました。しかしながら、歯科矯正の医療現場は放置され、社会と患者さんが蚊帳の外が如く10年近くが経過し、未だに歯科矯正領域の統一した専門医制度の行程すら具現化していません。
歯科矯正医療環境の悪化は、歯科医療全体のシステムなど様々な問題に起因しますが、どのような理由があるにせよ社会や患者さんに対してこれらを解決することは、歯科矯正医療に携わる者としての責務だと考えます。論は無役と言いますが今までの先人の経験を生かし実行する前にしっかりと熟考し、しかしながら、利は天よりは来らずと言いますが、今まで以上の行動により現状を打開できたらと思っています。
「精神一到何事か成らざらん」患者さんが安心安全に矯正治療を受診できる環境を目指す様々な矯正関係団体と信頼関係を再構築し、歯科矯正界の関係各位皆様のご尽力を賜れば幸甚です。
当会へのご意見、ご要望等がございましたら事務局までご連絡いただけましたら幸いです( メールアドレス [email protected])。