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厚生労働省指導による専門医制度に係る懇談会の進展状況■第2回懇談会 新認定機構の設立案が浮上 (JIO広報第2号より)
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去る9月27日、第2回「歯科矯正領域の専門医制度に係る懇談会」が開催された。これは「国民の立場に立ち、矯正領域の専門医制度を申請している三団体
"日本矯正歯科協会(以下JIO)、日本矯正歯科学会(以下日矯学会)、日本成人矯正歯科学会(以下成人学会)"
で、共通の基準作りを検討する場を設けて欲しい」との厚生労働省の指導により開催された。今回は成人学会が幹事役となり事前に各団体の専門医制度のフィロソフィー、設立の経緯、規則に関する質疑応答が行われた上での開催となった。 出席者(敬称略)は、厚労省:飯村康夫、小椋正之、日矯学会:後藤滋己、飯田順一郎、小川邦彦、成人学会:佐藤元彦、武内豊、松野功、JIO:深町博臣、のき田邦裕、夕田勉。 三団体で歩み寄りがなければ広告を認可しない 厚労省医政局の飯村康夫氏より、事前の質疑応答を読んだ感想として「三団体で相互に批判をし合っているだけで、歩み寄る意志が感じられない。この状態であれば、現状のまま三団体が個別に認定をして行くことになり、厚労省としては広告を認可しない。」との発言があった。同氏は続いて、厚労省が広告を認める選択肢として、認定の基準を統一することが必要であるため、三団体で協力して新たに認定機構のようなものを作ることに言及し、その場合に考えられる主な二つの選択肢につき述べた。 一つには、あくまでも各団体が認定団体となり、認定機構に審査や研修を依頼する形をとる方法。この場合には、審査の基準は統一されるが、専門医の名称は、○○協会専門医、○○学会専門医のように異なる事になる。 もう一つの方法は、新たな認定機構が、研修、認定審査、認定、更新まで全てを管理、運営する方法で、専門医の名称も○○機構専門医に統一される。なお、この場合には、認定機構が法人格を有し、機構自体の会員数が千人を超える必要がある。 日本矯正歯科専門医認定機構(仮称)の設立案につき討議 ここで、成人学会の佐藤氏より、日本矯正歯科専門医認定機構(仮称)の設立につき提案があった。期限を決めて話し合いを行うこと、また既に三学会で認められている約300名の専門医に関してはそのまま認める方向性につき打診した。その提案につき、日矯学会飯田理事は、矯正領域における専門医制度は国民から求められているため早急に確立する必要があると述べ、さらに各団体の会員構成を考慮して日矯学会が主導的立場につくべきである事を言外に示唆した。次に深町JIO会長は、三団体がそれぞれに認定を続けているという現状は混乱を助長しており好ましくないため、各団体がそれぞれの利害を離れて本当に良いものを作るという認識の中で一つのものができれば良い、と賛意を示した。また、具体的にどういう風に詰めていくかという作業について、日矯学会の会員数は確かに多いが、1989年に開始した認定医制度自体がうまくいっていればこういう事にはなっていないという事実を重く受け止める必要があり、日矯学会が主導する事は容認できないこと、本当に良いものを作ろうとしたらJIOの制度は核になりうるとの見解を述べた。 古い専門医の処遇について 厚労省の飯村氏は、新しい専門医を一本化して作った際に、今までの専門医をどうするかという経過措置につき、古い専門医が新しい資格の専門医の基準を満たしていれば自動的に読み替えが可能であるが、その基準に達していない認定の場合、そこを補う分の研修あるいは試験を受けるなり、何らかの補足的な審査が必要との見解を述べた。 その後、日矯学会および成人学会から、JIOの制度(既に機能している日本歯科矯正専門医認定機構<JBO>)を核にする事に対して反発する意見が出た。それを受けてJIO会長の深町は、JIOの制度を全て採用すべき、と主張しているのではなく、JIOが重視している、厳しい技術認定と、そこに至るまでの専門研修の質を管理できる事、専門医数をコントロールできる事、の三点がなされない限り、専門医制度自体は意味がないと述べた。その上で、新たな機構を作り、専門教育部門、技術認定部門等それぞれの部門を決めて、煮詰めていくことを提案した。 日矯学会の運営に問題が無ければJIOは存在していない 日矯学会飯田理事は、統一したルールをどういう形で作っていくかという事が問題になると述べ、現実に三団体の専門医制度は走っていること、教育部門に関しては実績があること、ほとんどの矯正専門医が日矯学会に入っている事、等の理由で、日矯学会が主導すべきであるとのニュアンスを含んだ発言を再度行った。それに対して、JIO夕田監事は、これまでの日矯学会の決議方法、組織運営に関する問題点を指摘し、会員の意見が反映されるような組織運営がなされていたら、JIOや成人学会も存在していなかった可能性が高いと述べた。さらに深町会長は、先の大阪での日矯学会年次大会において、会員が占める大学在職者数と開業医数の比率に対して開業医の代議員数が著しく少ない事、会員総会が無い事など、会員から非民主的な運営に対する批判が出た事に触れた。また現状の様に、歯科大学矯正科であれば無審査で研修機関となりうる事が是正されない限り、専門医の質は担保されないと述べ、大学主導のシステムを変える重要性に触れた。夕田監事は日矯学会の専門医数にふれ、全体のビジョンが確立されないままに毎年数百の専門医を輩出するようなシステムを続けているのでは話し合う余地がないと、専門医を乱造している現状に苦言を呈した。それを受けて深町会長は、新たな認定機構を作る条件として、来年度の認定医・専門医制度の凍結を提案し、次回の懇談会前までに、役員会に諮ることを求めた。 現行制度を凍結しないと会員が混乱する可能性がある これに対して、日矯学会飯田理事は、凍結しないと会員が混乱するという事に疑義を述べ、逆に凍結する方が混乱を招く恐れがあるとの見解を述べた。一方、厚労省の飯村氏は、仮に凍結しない場合には、新しい資格について協議中なので、再度、研修や試験等を受けなければいけない可能性がある等のアナウンスが必要と述べ、仮に新資格が出来た場合には、旧資格の方は一旦その経過措置をクリアするまでは専門医を広告できなくなってしまうので、確かに混乱は生じる可能性がある。一旦止めるというのはひとつの手だと思う、と述べた。 最後に、事前質問に対する日矯学会の回答が未提出なので、10月9日までに回答するとの約束を交わし、次回日程を11月29日とした。なお次回の幹事はJIOで、厚労省は参加しない予定。次回以降の懇談会で方向性が定まった時点で、厚労省および日本歯科医師会、日本歯科医学会に参加を呼びかけ最終的な詰めの作業を行う方針となった。 |
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